あしたのジョー

俺の予想では、「思ったより悪くない」って感想が一番多数派になりそうな映画。映画としては隙だらけで凡作でも、何かしらひっかかるもんがある。
原作は、数年前にアニメの劇場版を見たって程度の知識。前半部にあたる力石編の熱さに比して、後半部のトーンダウンが著しい。映画はその力石戦→ジョー復活まで。
どうせ香川照之の映画だろ?って思ってたが、山下と伊勢谷も健闘してる。特に力石役の伊勢谷の役作りが半端ない。ガチの鍛え方も凄いが、検量での異様なガリガリっぷりもCGではなく、本当に減量したとか。その後の試合シーンでは嘘のように元に戻ってたから、本当にCGじゃなかったのかもな。映像として繋がってねぇもんを監督が見逃すはずない。
しかし、原作でもそうだったが、ジョーは一心不乱に練習に打ち込み、力石は狂気じみた減量をしてる。明らかに対等な条件での対決じゃないのに、ジョーとおっつぁんサイドから何の反応もないのが気になる。「力石の意思を尊重して」「覚悟を汲み取って」という描写があるわけでもない。
ストップモーションやハイスピードカメラを多用した試合シーンは、「本気で殴ってる」らしく、ひしゃげる肉体と飛び散る血と汗とかの迫力は出せたが、肝心なボクシングの臨場感や躍動感、画面の熱量を完全に冷却してしまうので、効果的だったかはフィフティー。ジョーの必殺パンチ「クロスカウンター」も一体どういうパンチなのか、初見の観客に伝わっただろうか。
刑務所での囚人役で強面俳優としておなじみ、阿部亮平高橋努がいて「あんたらまたか」って笑う。今回は力石ファンのチョイ役。


とにかく役者の頑張りが光る映画。
あっっさいファンの感想でしかないが、それほど原作ファンの神経を逆撫でする出来ではないと思う。面白いよ。
80/100点。