モーレツ宇宙海賊 #5

#5 茉莉香、決意する
脚本:佐藤竜雄 絵コンテ:西村聡 演出:近藤一英 作画監督:大河内忍


チアキちゃんはエンジニアかなんかだと思ってたがとんでもない、船に関わるあらゆる事は全て知ってなきゃいけない茉莉香船長の同業者、あるいは商売敵だったわけだ。そして、この練習航海のプロット自体が茉莉香の船長としての知識量、発想力、対応力、判断力、胆力を計る機能を果たしていた。
修学旅行の夜更かしのノリで、談笑まじりに鼻クソほじる余裕もあるAパート。Bパート、戦闘開始っ!と同時に、これまで溜めに溜めた助走分を一気に解き放つようにボンクラ女子高生の皮を脱ぎ捨て目まぐるしく切り替わる画面の波。ナメてかかった女子高生におちょくられ挑発を受け取った相手の返答が、目視による超長距離射撃。殺意の高エネルギーに接近される度に高まっていくきしむ船体の音と、女子の悲鳴が素晴らしい。
敵の姿は最後まで見せず、ほぼレトリックのみで描写した戦闘のスリリングな楽しさ、戦況の変化に合わせた演出のテンションの変調、武装もシールドも無いセイル航法の星間宇宙船である事を利用したとっておきの反撃、衝撃の告白、ラストの「お母さん」の一言に込められた内面のドラマに至るまで、いくつも見所があった。クッソ面白かった。


「焼けなくてもいいんです、光学照準機が使えなくなれば…」って台詞から相手がどうなるか想像できるようだし、サトタツ自身のマッチョっぷりが乗り移ったかのように歳相応の葛藤や言い訳にまったく無縁な茉莉香だけは、頼もしくて魅力的と言うより未だ不気味なキャラクター。いやムリョウ君ほどではないけど。